大自然の神様に対する 『祈りの言葉』  
私たち人間が命を支えるために必要不可欠な空気、水、熱、土などを、常に無料で使わせてくださっている大自然の神様! どうぞ私たちの無知に基づく傲慢なる態度をお許しください。あなた様の偉大なるお力と、寛大なる御心によって、平成23年3月11日、東北地方の三陸沖に起こった大地震と大津波によって命を失い、この世を去られた人々の霊魂を救い上げ、あの世で楽しく安らかに過ごせるようお導きください。
また、命からがら生き延びたものの、避難所や被害を受けた家屋内にあって、衣食住に不自由しながら毎日を過ごしているすべての人々が、一日も早く体と心の健康を取り戻し、再びそれぞれの住む家と働く場とをお与えください。
大自然の神様! 今回の大地震と大津波によって故障した福島の原子力発電所が、自動制御が利かなくなり、破壊された発電炉から現在放射線が漏れつつありますが、修復作業に携わっている人々の努力が実り、一刻も早く制御装置が再稼働して放射能の封じ込めができるようになりますように、お助け下さい。
なおこれからは、原子力発電所に頼らなくても、自然力や人工的摩擦力を利用した発電の仕組みを開発して必要なエネルギーを確保しつつ、私たち人間が慎みの心と助け合いの心をもって生きていきますので、大自然の神様! どうぞ私たちの真心をお受け取り下さり、こうした日本人本来の伝統的な生き方が、世界中の人々のこれからの生き方の参考になりますよう、お計らいください。


奈良毅(東京外国語大学名誉教授)より




原子力に対する 『祈りの言葉』 
  福島原子力発電所の第一号、第二号、第三号及び第四号の原子炉の皆様に申し上げます。皆様は、これまで数十年にわたり、熱蒸気を発生させてタービンを回し、たくさんの電気を私たち消費者に黙々と送り続けて来られました。それに対し、私たち消費者は、東京電力会社に使用料金を払っているから当然の権利だとして、皆様に対する敬意や感謝の気持ちを持つことなく、その供給されてくる電気をふんだんに使ってまいりました。
  ところが、このたび3月11日、東北日本の三陸沖に起きた過去一千年間で最も大きな地震と津波によって、電気系統が全部破壊されてしまい、その結果あなたたちの燃料棒の冷却装置が動かなくなり、水素ガスが発生して建屋の爆発事故が起きたり、放射線に汚染された水が原子炉の外に漏れたりする事態が発生しつつあります。したがって、当然ながら皆様が送り続けてこられた電気も止まり、関東地区では、ところによっては、一日数時間ずつの計画停電が行われている現状で、今になって初めて電気の有難味を知ると同時に、それを何気なく浪費してきた自らの無知と傲慢な生活態度とに、私たち消費者はいま慙愧の念を感じている次第です。
  私たちの今までのそうした過ちをお許し下さり、一日でも一時間でも早く、皆様の制御装置が回復し、放射線をこれ以上周囲に出さぬように頑張ってください。そして、やがて皆様が廃炉になった時には、静かにゆっくりお休みになり、再び自然の大地の懐に還って行ってくださいますようお願い申し上げます。
  ところで現在、東京電力の関係者を初め、自衛隊員や自治体の消防隊員たちが、身の危険を感じながらも、燃料棒を冷却するための水を大量に注入したり、自動制御を回復するために電気系統の破壊された部分を修復したり、原子炉の外に漏れた放射線を封じ込めるためのあらゆる作業を行っておりますが、そうした人間側の努力が報われますよう、皆様もそれに呼応して、危険な事態を収束させるべく、側面から援助してほしいと願っております。
  また日本全国各地のみならず、今や世界中の各地に建設され稼働しているすべての原子力発電所の皆様にも申しあげます。今回の福島原子力発電所の事故を他山の石として、今後いかなる自然災害や人為的災害があっても放射線が外部に漏れないような安全装置を研究開発し、さらには、皆様に頼らなくても電気が得られるような仕組みを将来人類が見出すべく、陰ながら応援してくださいますよう、心よりお願い申し上げます。


奈良毅(東京外国語大学名誉教授)より




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